私は大学を卒業後、この学習塾の世界に身を投じ、約30年が経ちました。この四半世紀くらいの期間で、日本経済は大きく変化し、さまざまな社会問題も発生し、また子ども達を取り巻く環境も随分変わってきたことを肌で感じます。以前は、「頑張って勉強して、偏差値の高い大学に進学し、そして大企業に就職する」、これが人生の幸せであると多くの人が信じて疑わなかった時代がありました。しかし、バブル経済が崩壊し、幸せの象徴であった大企業が倒産する事態も発生し、日本人が拠り所にしていた幸せの方程式が崩れてしまったのです。
いったい何が幸せなのか分からなくなってきた人々は、さまざまな幸せの価値観を模索し、多くの人が自分に合った幸せ、自分の子どもに合った幸せを求めるようになり、学習塾業界においても大きな変化が生まれました。今まで受験熱とともに拡大していた集団指導塾に勢いがなくなり、一人ひとりに合わせた指導を行う個別指導塾が世の中のニーズに合致して台頭してきたのです。そして、今では至る所に個別指導塾が存在し、少子化もあいまって、多くの学習塾が教育よりも生徒獲得にやっきになっているのが現状です。
また、今、多くの学校が崩壊しています。暴力、いじめ、学力低下、学校の先生の心の病などさまざまな問題を抱えています。家庭においても、母子家庭・父子家庭が増え、両親がいたとしても共働きで子どもに思うように時間を注げない保護者の方が増えました。
このような状況の中で、子ども達は大人になり、社会に出ていきます。国の借金は増え続け、景気回復もままならず、雇用も不安定。大人である我々さえもこの先どうなるか不透明なこの時代に、彼ら彼女らは社会に出ていくのです。
ですから、私自身は今後の学習塾の役割はより一層大きなものになると考えています。これからの学習塾は単に勉強を教え、良い成績を取らせて、偏差値の高い学校に合格させることだけを目指してはダメなのです。
勉強を通して、先生と生徒とのふれあいを通して、子ども達同士の交わりを通して、「自分は成長できる」という自信を与え、家庭や学校とも協力し、しつけや考え方までも教え、これからますます不透明なこの時代を「自分の頭で考え、自分の足で立って歩いて行ける」人材を育てること、そういう場であることが、学習塾の使命だと思うのです。そして、それが子ども達から「先生」と呼ばれる私たちの仕事だと思っています。
子ども想いの心ある先生、塾様、ぜひご一緒しませんか。