【9/16(木)】個別指導の神様が降りてきた・リターンズ~大手塾VS個人塾~(31)“営業戦略”の攻防②

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■タヌーキと我利サイド。

「ということはやな、さっき言った“勝つ戦略”の観点からみると、“天下一個別”は営業的な戦略を打ってくるはずや。キーツネとはそういう奴や。あいつは、わしと同じように“個別指導の神様”を名乗っておきながら、教育のことなんてこれっぽっちも考えてへん。自分たちが勝てばいいと思ってるだけや。」

「なるほど!じゃあ、我々はその逆、つまり塾としての正攻法として攻めるわけですね?」

「違うわ!目には目を、歯には歯を、営業には営業を!」

「えっ?じゃあ、“入試対策”をそっちのけで、我々も営業するってことですか?」

「そうや。」

「それはダメですよ!生徒にとっては大事な時期なんですから!」

「何言うてんねん。別に“テスト対策”や“冬期講習”をせんでええって言ってるわけやないやん。それはそれで全力でせなあかん。でも、そこだけに意識を向けるんやのうて、営業的な仕掛けを打つってことやがな。」

「ん?具体的にはどういうことですか?」

「お得意様大作戦や。」

「お得意様大作戦?何ですか、それは?」

「早めに募集期をスタートして、顧客を囲い込んだろっちゅうやつや。」

「なるほど。」

「だいたい、どこの塾も春の募集期は生徒募集に力を入れて来るわな。チラシもぎょうさん打ってくるやろうし、紹介キャンペーンなんかも大々的にやってくるやろ。」

「はい。」

「ほんで、そのスタートは早くて二月やと思ってるわけや。」

「そうですね。」

「だから、十二月や一月は集客にあまり意識が向いてない。そこを狙って、ジブンとこは営業戦略をスタートさせるちゅうことやな。」

「なるほど、なるほど。で、お得意様大作戦の中身は何ですか?」

「ご優先入会キャンペーンや。まあ、一種の紹介キャンペーンやな。」

「えぇ~、また紹介キャンペーンですか…。」

「はあ、ジブン、紹介キャンペーンバカにしてんのか!」

「バカにはしていませんけど、タヌーキさんって、すぐにキャンペーンを打てって言うじゃないですか?特に紹介系のキャンペーンのやり過ぎじゃないですか?」

「ええねん、ええねん。わし、昔からキャンペーンの魔術師・タヌーキって言われてんねん。」

「タヌーキさんのことはどうでもいいんですけど、何だかキャンペーンの連続だと白けません?」

「別に連続と違うで。優先入会キャンペーンは今回初めてやん。」

「でも、これって紹介キャンペーンの拡大版みたいなもんでしょ?」

「そうや。それが何か悪いか?」

「悪いって言ってるわけじゃないですけど…。」

「だったら、別にせんでええ。勝手にしたらええがな。」

「いやいや、そうやって見放されるのも嫌なんですよね。」

「だったら、つべこべ言わずにやったらええやん。」

「はいはい、分かりましたよ。タヌーキさんを信じてやってみます。」

「ふん!最初から文句言うなや。うだつの上がらん社長のくせして。」

「すみません…。」

「だいたいな、塾の営業っていったら、一番ええのが紹介促進に決まってるやん。さっき、二対六対二の法則の話をしたけど、紹介促進も一緒や。」

「と、いいますと?」

「例えば百人の生徒がいるとするわな。そのうちの二割が超満足しているとして、その人数は二十名になる。そいつらは塾に満足しているんやから、紹介も出やすいやろ?そこから、一件の紹介を作り出せれば、簡単に二十名の入塾になるわけや。」

「まあ、そういうような理屈は前にも聞きましたね。」

「だって、そうやん。目の前に営業対象がゴロゴロいるんやから、ポスティングや校門前のビラまきするよりも、よっぽど効率がいいやないか。」

「まあ、それはそうなんですけど。」

「それに、この時期にこれをやるとええことがある。」

「はい、それは何ですか?」

「中三生で、高校受験が終わったら、塾を辞める生徒もおるわな。」

「はい。」

「そういう場合、こういう大きなキャンペーンがあったら、それを利用して、入れ替わりに弟や妹を入れるちゅう形も取りやすいやん。」

「それなら、二月くらいにキャンペーンを打ってもいいんじゃないですか?」

「だから、言ってるやん。二月以降やと他塾もそういうのをやってくるさかい、友達に誘われて、そっちに行くやつもでるやろ?だから、他塾があんまりやってへん今のうちに、取り込んどく方がええちゅうことやがな。」

「なるほど!タヌーキさんの言いたいことはよく分かりましたよ!」

「それからな、一つ注意点があるんやけど、このキャンペーンはネーミングがすっごく大事やからな。」

「えっ?ネーミングですか?」

「そうや。キャンペーン名には、絶対にお得意様感を出さなあかんで。そのまんま、“お得意様キャンペーン”でもええし、“ご優待キャンペーン”や“優先入会キャンペーン”みたいな感じでもええ。とにかく、特別感が重要や。」

「なるほど、なるほど。」

「まあ、分かったんやったら、早速動くこっちゃ。」

「はい!あっ、でも…。」

「何やねん。まだあるんかいな。」

「はい。やっぱり気になるんですけど、“天下一個別”はどんな営業戦略を取ってきますかね?我々と同じようなキャンペーンですかね?」

「さあ、どうやろな。わし、キーツネやないさかい、よう分からんんわ。」

「まあ、そうですよね…。」

 

 

■場面は変わって、キーツネと塩川サイド。

「で、キーツネさん、我々が取るべき営業戦略は何でしょうか?」

「それは、ピンポン営業だ!」

「ん?ピンポン営業?」

「そうだ。東京から優秀な営業部隊を呼び寄せるから、一軒一軒の家庭を訪問して、塾の体験授業の申し込みを取っていくんだ。」

「えぇー!それって、怪しげな教材販売と同じ手法じゃないですか!」

「何か文句があんのか?」

「いえ、文句はありませんが…。そんな強引な営業をして大丈夫かと…。」

「大丈夫だ!だいたい、怪しい教材販売は高額な教材を買わせることが目的だろ?我々が取るピンポン営業は、あくまでも体験授業の案内だ。お金もかからないし、全然、敷居が低い。」

「確かにそうですけど、そこまでしなくても、新聞折込チラシはちゃんと巻くわけですし…。」

「本当にキミはバカだ。よくそれで“天下一個別”で営業本部長を任されたもんだな。」

「まあ、一応、これでも東京では実績を出していたもので…。」

「ふふ…レベルの低い話だ。」

「すみません…。」

「いいか、塩川君。塾っていうのは、どこもバカの一つ覚えみたいに、チラシをまいたり、ネット広告を出したり、待ちの営業ばかりやっているだろ?」

「はい。」

「塾業界ももっと頭を使わなければいけない。来るか来ないか分からない問い合せをじっと待っていても仕方がないだろ。こちらから問い合せを取りに、出向けばいいんだ。せっかく今回の定期テストで成績が上がっているんだったら、その実績資料を持って、“天下一個別”をアピールし、体験申し込みを取る。それくらいのことをやらなきゃダメなんだ。」

「そ、そ、そうですね…。」

「実際、そういう攻めの営業をする塾なんて、ないだろう?」

「はい。」

「しかも、この戦略は個人塾レベルではできない。ミー達のような大手、つまり資金も人材も豊富な塾しかできない戦略。これこそ、タヌーキには想像ができない戦略だ。なんたって、あいつは小さなしょうもない塾ばかり応援してきた奴だからな。アハハハ。」

「確かに!アハハハ…あっ、すみません!」

「今度こそ、“個勉塾”を、いや、タヌーキの奴をギャフンと言わせてやる!待ってろ、タヌーキ!!」

 

・・・・・・・・・・

 

その後、“天下一個別”と“個勉塾”の激しい営業対決は続いた。

“天下一個別”の営業部隊は、この寒い十二月に一軒一軒の家庭を訪問し、体験授業の案内をしていった。なかなか訓練された営業部隊だったこともあり、体験申し込みは日増しに増えていった。

一方の“個勉塾”は冬休み前の報告面談の中で、例のお得意様営業として、“優先入会キャンペーン”の案内をし、これもなかなかの手ごたえだった。

現段階では、どちらの戦略の方がいいのか分からない。

ただ、言えるのは、大手塾である“天下一個別”もなりふり構わない戦略に打って出て、小さな個人塾レベルの“個勉塾”も頭を使った戦略で対応している。

つまり、今の時代、いい授業をしていたら、黙っていても生徒が集まる時代ではないことだけははっきり言えるのだ。

 

大手に勝つ戦略(その八)

一.勝つ確率を上げる戦略の基本は次の二つ。

  • 皆がやらないことをする!
  • 皆がやらない時にする!

二.「二対六対二の法則」を理解しすること。

そして、それを踏まえて、「入会促進」や「退塾防止」、「組織作り」や「教室の空気作り」などの戦略を考えるべし。

 

 

~大手塾VS個人塾~

第八ラウンドは、“営業”の攻防(ピンポン営業VSお得意様営業)の対決だ!

果たして、勝負の行方はいかに!

 

※明日に続く

 

オーラのないマッチメーカーこと、株式会社WiShipの岡田がお送りしました爆笑