【9/7(火)】個別指導の神様が降りてきた・リターンズ~大手塾VS個人塾~(24)“商品”の攻防④

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■場面は、再びタヌーキと我利サイド。

「ええか、我利ちゃん、難しく考えることない。講師たちもただの人間。我利ちゃんもただの人間。原理は同じや。どうやったら、やりがいを持って、この仕事にのめり込むようになると思う?自分を基準に考えてみたらええ。」

「それは、やっぱり一生懸命教えて、自分の担当生徒の成績が上がって、“ありがとう”なんて言われたら、たまりませんよね。」

「そうやな。他には?」

「教室長とか上司なんかにも感謝されたら、そりゃあ嬉しいですよね。」

「そうや。つまり、自分のやったことが人に認められて、人から感謝されたら、もっと頑張ろうと思うやろ?それはアルバイト講師でも、社員でも、もっと言えば生徒でも同じ原理や。」

「なるほど。」

「だったら、まずは、その人に何かをやってもらわなあかんわな。」

「はい。」

「例えば、対生徒なら、その子の成績が上がるような授業や関わりをしてもらわなあかんちゅうことや。」

「はい。」

「対教室長なら、生徒の成績を上げてもらうこともそうかもしれんけど、もっと簡単なんは教室運営の手伝いという行為をしてもらうちゅうことやな。それさえしてくれれば、“ありがとう”って言えるチャンスが増えるやろ?」

「なるほど。」

「もちろん、授業をしてくれているだけでも、本当は“ありがとう”や。それけど、それだけやと日常過ぎて、あんまりインパクトがないちゅうか、なかなか感謝が伝わりににくいもんや。だから、些細なことでも何でもええから、どんどん講師達にお願いするんや。そして、感謝の気持ちを伝える、これが人をのめり込ませる基本中の基本やな。」

「う~ん…確かに教室現場ではあまり講師に手伝ってくれって言えていない気がするんですよね。」

「それがあかんねん。だいたい、講師を巻き込むときに、ただ飲みに行ったり、カラオケに行ったりする奴おるやろ?あれ、無意味やしな。何かの御礼に連れて行くんやったらまだしも、単に仲良くなるためだけに行くのは効果はない。」

「いやいや、そんなことないでしょ!」

「ない。」

「ひゃー!断言しましたか!」

「あるわけないやん。もちろん、仲良くなるということだけを考えたら一定の効果はあるやろ。ただ、仲良くなったからといって教室が良くなるわけやない。生徒の成績かって上がるわけやない。」

「確かにそうかもしれませんけど…。」

「だいたい、うだつの上がらんサラリーマンどもが居酒屋とかで酔っ払いながら、今の会社の体制はおかしいとか、もっと会社はこうするべきだとか、しょーもないことを酒の力を借りてグチグチ言ってる輩がおるやろ。あれほど醜いもんはないで。そんな場所でいくら正論を言ったところで何にも変わらん。言いたいことがあるんやったら、会議とかの席で言ったらええねん。ああいうのは、単なる負け組の連中や。」

「まあ、そうですね…。」

「講師を巻き込むのも同じことや。酒の席で、担当生徒がどうだとか、教室をこういうふうにしたいだとか、酔った勢いでそういう話をしても意味ない。単なるストレス発散や自己満足にしかならへん。ましてや、カラオケなんて最悪や。皆、歌うことに夢中で、生徒や教室の話なんてできひんやん。それらは教室運営的には全く意味がない。」

「う~ん…そういうもんですか?」

「そうや。真面目に担当生徒の成績を上げるためにはどうしたらいいかを相談して、真面目に教室を良くしたいから協力してほしいという話をして、真面目に講師自身の人生についても耳を傾けてやって、それで初めて講師達は頑張ってくれるんや。お酒やカラオケで頑張るなんて、それは幻想や。」

「じゃあ、そういう話はどこでやればいいんですか?」

「教室内でもええし、飯を食いながらでもええし、とにかく、酒の力を借りんことが重要や。」

「なるほど…。」

「あとは、あれやで。自分ばっかり話をするんも最悪やで。ちゃんと講師たちの話を聞いてやるというスタンスが必要や。人は誰でも自分が喋る方が楽しいさかいな。」

「確かに、タヌーキさんは私の話を聞いている時はつまらなさそうですけど、自分が話をしている時は楽しそうですもんね。」

「ん?何、それ?もしかして、わしをディスってんのか?」

「いえ、そんなことはありません。」

「何か、ジブン、ちょいちょい、わしの癇に障ることを差し込んでくるんやな。」

「それはタヌーキさんの気のせいですって。で、話を戻しますけど、生徒の話はまだしも、なかなか講師達に教室業務の手伝いまでお願いできないというか…。」

「いやいや、遠慮なくしたらええがな。その方が講師も嬉しいんや。一部の例外を除いて、お願いされたり、頼られたりして、嫌な気持ちになる奴はおらん。もちろん、頼み方は重要やで。」

「そうかもしれませんけど、頼んで断られるのが怖いというか…。」

「だったら、断られへん頼み方したらええがな。」

「えっ?そんなのあるんですか?」

「おお、“一生のお願い”作戦や。」

「“一生のお願い”ですか?」

「そうや。頼みごとの詳細を言う前に、“一生のお願いやから、頼みごとを聞いてくれる?”って言えばいいんや。」

「そんなベタな頼み方…。」

「何がベタやねん。ジブン、この効果を疑っているんやったら、わしが今からやってみようか。」

「はい、是非やってみてくださいよ。」

「我利ちゃ~ん!“一生のお願い”があるんやけど、きいてくれる?(ニコッ!お目めキラ~ン!)」

「タヌーキさん、気持ち悪いです。」

「我利ちゃん、そんなこと言わんと、“一生のお願い”やねん。お願いやから、頼み事きいてくれる?(ニコッ!お目めキラ~ン!)」

「いや~、そんな言い方されても…。」

「“一生のお願い”や。本当にお願い!」

「う~ん、どうしようかな?」

「ほんま、“一生のお願い”!“一生のお願い”!」

「もお~分かりましたよ!で、お願いって何ですか?」

「これから一週間、毎日パフェおごってほしいねん。」

「いやいや、それは…。」

「えっ?!さっき、“一生のお願い”をきいてくれるって言ったやん。」

「確かにそうですけど…。分かりましたよ!今回だけですからね!」

「有り難うさん!ほんま、助かるわ~。本当に有り難うな。よっし、ほんなら、御礼にラーメンでも奢るわ。食べに行こ!」

 

そして、タヌーキと我利勉はラーメン屋に移動した。

「何でも好きなもん食べてええで。」

「そうですか?じゃあ、私はチャーシュー麺に煮卵トッピングで。」

「おお、なかなかええチョイスやな~。おねーちゃん、それ二つちょーだい!」

そしてラーメンが二つ運ばれてきた。

「我利ちゃん、遠慮せんと食べてや。」

「はい、いただきます!」

そして、我利がラーメンを一口食べた時、タヌーキが叫んだ!

「あっ!今、食べたな!!」

「何ですか!いきなり大きな声を出してビックリするじゃないですか!」

「もうラーメンを食べた以上、さっきのお願いは断れへんからな。(ニコッ!お目めキラ~ン!)」

「はい、はい。大丈夫ですよ!」

「ほら!こういう感じでやったら、お願い聞いてくれるやろ?」

「確かに、タヌーキさんにしてやられたというか、ついつい、お願いをきいてしまってましたね。しかも、あんまり気分は悪くないです。いや、どちらかというと、それだけお願いされたら、逆に嬉しい気持ちになっていましたね。」

「そうやろ。これが“一生のお願い”の力や。」

「なるほど。」

「ほんじゃ、ここのラーメン代金は払っといてや。」

「ええー!!!奢ってくれるんじゃなかったんですか!」

「そんなわけないやん。わしは単に“一生のお願い”の仕方をレクチャーしたっただけやん。」

「じゃあ、さっきのパフェ奢るのも無しですよね?」

「それはあかん。“一生のお願い”は絶対もんや。その約束を破ったら地獄に落ちるで。」

「そんな~。これじゃあ、まるで詐欺じゃないですか!」

「知らん!」

「とほほ…。」

 

「とにかく、講師達にもっと厚かましくお願いし。ポイントは、とにかく、ウンと言うまで、“一生のお願い”を言い続けるんや。そうしたら、さっきのジブンみたいに“もう~、分かりましたよ”って折れてくれるはずや。あっ、でもニコッと笑って、目をキラ~ンってさせて、言わなあかんで。間違っても、血走った目でお願いしたら、相手さんは怖くなって逃げていくさかいな。アハハハ。」

「それで上手くいくんですかね?」

「九割くらいは上手くいく。でも、中には本当に時間がなくて断ってくるやつもあるわな。でも、それでめげたらあかんで。これまた、ニコッと笑って、“じゃあ、また次の機会にお願い!”って言っといたらええねん。たぶん、次の“一生のお願い”は断れんと思うしな。」

「何だか、本当に典型的な詐欺師みたいですね。ふふ…。」

「まあ、何でもええねん。とにかく大事なんは、講師が何かをやってくれること、そして、それを認めて感謝をすること。そうすれば、単なるアルバイト講師達はこの仕事にのめり込んでくれて、ロボットに対抗できる最強戦力の“血の通った講師”になるわけや。」

「はい。でも、もう一つだけ聞いていいですか?」

「何や?」

「最近って、ブラックバイトの問題がうるさいじゃないですか?」

「おお、ほんで?」

「ご飯とか連れて行ったり、教室でちょっと生徒の相談するのも、時給って払う必要があるんですかね?」

「そんなもん、いらんわ。アホか!」

「そうですか…。」

「当たり前やん。そんなもんに金払ってて、お金の関係で繋がってても意味ないわ。お金やのうて、講師たちの良心に訴えかけるんや。それが生徒数が伸びる教室運営のミソや。」

「なるほど!」

「講師は誰だって、自分が担当している生徒の成績は上げたいと思ってる。上がって嬉しくない講師はおらん。その純粋な良心を引き出してやるんが、教室長であり、社員の仕事やで。」

「確かにそうですね。」

「だからな、間違っても講師達に生徒数目標みたいな数字目標は下ろしたらあかんで。あくまでも、講師には純粋に担当生徒の成績を上げるために頑張らせることや。そうせな、講師達の気持ちがしらける。」

「はい。」

「とにかく、講師達の心に灯をつけられれば、AIロボットに対抗できる最強商品“AV講師軍団”の出来上がりや。」

「えっ?AV講師?」

「そうや。AruVaito(アルバイト)、略してAVや!アハハハ。」

「何か嫌なネーミングですけど、さっき、タヌーキさんに教えてもらった“一生のお願い”大作戦で、最強のAV講師軍団を作ります!!!」

「大きな声でAVっていうなや。ほんま、ジブンっていけてないわ~。」

 

 

大手に勝つ戦略(その六)

一.個別指導塾の商品は“講師の先生”だということを強く認識するべし。

二.講師を教室運営に巻き込み、この仕事にのめり込ませるべし。

そのためには、敢えて、講師に感謝する“機会”を作ること。

だから、些細なことでもお願いすることが必要。(お願いし、やってもらったことを認めて、感謝するという循環。)

三.講師の先生を動かす最大の武器は“一生のお願い”。

 

~大手塾VS個人塾~

第六ラウンドは、“商品”の攻防(AIロボット VS AV講師軍団)の対決だ!

果たして、勝負の行方はいかに!

 

※明日に続く

 

オーラのないマッチメーカーこと、株式会社WiShipの岡田がお送りしました爆笑