■場面は変わって、キーツネと塩川サイド。
「なるほど!向こうは、うちが五月もチラシを打ったり、校門前ビラまきで景品を配るなどをしてくると思っているわけですね。」
「恐らくそうだ。」
「それで、その対抗策として“テスト対策お友達紹介キャンペーン”的なものを打ってくるという、キーツネさんの読みなんですね。」
「そうだ。タヌーキなら、今の戦いの流れを考えれば、金を使わせることはしないだろう。」
「う~ん、さすがキーツネさん!そこまで読んでおられるとは!」
「それでだ、我々はその裏をかく。」
「はい、具体的には?」
「何もしない!」
「ええっー!何もしないんですか!!」
「まあ、正確に言うと、営業的には何もしないということだ。今いる生徒の無料補習をバンバン入れて、思いっきりテスト対策をするんだ。」
「えっ?それでいいんですか?それだと生徒数を増やすことができないと思うんですが…。」
「大丈夫だ。この作戦でいけば、六月には“個勉塾”から生徒が大量に流れて来る。」
「えっ?キーツネさん、それはいったいどういうことなんですか?」
「キミは本当に頭が悪いな。順を追って説明してやろう。」
「はい、お願いします。」
「“個勉塾”は、この春、生徒数がかなり伸びたらしいな。」
「はい、そのようです。」
「そして、今回、テスト対策に外部生も呼んでくることをしたら、教室はどうなると思う?」
「初めてのテスト対策の生徒だらけで、結構手がかかると思いますから、教室運営としては大変でしょうね。」
「そうだ。」
「あっ!そうか!」
「(ニヤッ)分かったか?」
「はい、そんな状況なら、きっと面倒を見きれなくて、テスト対策が上手くいかないでしょうね。」
「そうだ。実は、生徒が一気に増えた時というのは、要注意なんだ。相当頑張らないと、塾として、肝心かなめのテスト対策や面倒見の部分で、ボロが出始める。」
「なるほど。」
「でも、向こうは我々の営業戦略を意識し過ぎて、その部分の意識が弱くなっているだろう。だから、今回の定期テストで成績が上がらない子が続出するはずなんだ。」
「確かに!」
「そして、我々はテスト結果が出るタイミングを見て、“転塾キャンペーン”に打って出る!」
「ひゃー!素晴らしい戦略です!しびれます!!」
「だから、塩川君、今回のテストは何が何でも全員の生徒の成績を思いっきり上げろ!無料補習はいくら組んでも構わん。」
「はい!」
「そして、六月早々に“転塾キャンペーン”のチラシを入れられるように今から準備をしておいてくれ。もちろん、校門前のビラまきやポスティングもやる段取りを組んでくれ!」
「分かりました!アイアイサー!」
「何だ、その返事は。やっぱり、ミーはキミが嫌いだ。」
「はい、勉強になります!」
「・・・・・。」
(五月後半)
■場面は、“からくり屋珈琲店”。
「タ、タ、タヌーキさん!」
「どうしたんや?そんな血相を変えて。」
「はい、もう五月も後半に入ろうとしている時期なんですけど、“天下一個別”が全くチラシを折り込んできていないんです!校門前のビラまきも行われていません!」
「えっ?どういうことやねん!」
キーツネはいったい何を考えているんや?もしかして、裏の裏をかかれたんか?!
大手に勝つ戦略(その三)
大手が打ってくる戦略に乗り過ぎてはいけない。
お金を使った持久戦に持ち込まれると、個人塾は苦しくなるので、できるだけお金を使わない集客方法で対抗すること。
~大手塾VS個人塾~
第三ラウンドの五月決戦は、「テスト対策の徹底強化」と「テスト対策お友達紹介キャンペーン」の対決だ!
果たして、勝負の行方はいかに!
※明日に続く
オーラのないマッチメーカーこと、株式会社WiShipの岡田がお送りしました。