【1/25(水)】刺さったままのトゲ

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刺さったままのトゲ

今日も昔のブログより。

 

今は教室現場に立っていない私ですが、これでも昔はバリバリの教室長だったんですよ(笑)。

サラリーマン時代、教室長現場にいなかったのは一年間だけ。

エリアマネージャーをしている時も、教室長を兼務したりして、教室にいましたからね。

だから、今でもいっぱい当時のトゲが刺さったままです。

 

ん?トゲ?

はい、救えなかった生徒達への後悔(=トゲ)です。

 

随分、昔の話です。

私が新入社員の時。

最初のトゲが突き刺ささりました。

私が配属された教室に、不登校の中3生でI君という子がいたのですが、塾はたまに休むこともありましたが、それなりに頑張って来てくれていました。

でも、ほとんど喋ってくれない生徒で、私が授業も担当していたのですが、なかなかコミュニケーションが取れなかったんですよね。

だから、私には、彼が何を考え、何を望んでいるのか、さっぱり分かりませんでした。

 

そして、困り果てた私は、半ば強引に、交換日記をしようと彼に提案して、そのやり取りをスタートさせたのです。

交換日記なんて柄にもなかったですが、何かの突破口になるんじゃないかと期待してね。

でも、彼が書いてくるのは、ほんの数行の文章。

しかも、やったことが書いてあるだけで、彼の心の内は全く書いてくれませんでした。

 

一応、授業はそれなりに進められるものの、とてもとても高校受験を突破できるだけの進捗ではありません。

たぶん、彼は高校に行く気はないんだろうなって、私は思いましたね。

だって、「高校には行きたい?」って聞いても、頷きもしなかったですからね。

だから、私、正直どうしていいのか分かりませんでした。

それどころか、やる気のない面倒な子だと思っていたんだと思います。

まあ、こんな膠着状態がしばらく続いたわけです。

 

すると、ある日の交換日記に、こう書かれていました。

「先生、僕、本当は高校に行きたい…」

えっ!…

私、自分の目を疑って、何度も見直しましたよ。

確かに書かれている!初めて彼自身の気持ちが。

しかも、高校に行きたいって…。

この時のこと、私は今でも鮮明に覚えています。

 

えっ?何故覚えているのかって?

それは、「先生」と呼ばれていた自分が最低な塾の先生だと気付かされたからです。

そう、彼のことをやる気のないどうしようもない生徒で、どうせ高校にも行く気がないんだと決めつけていた最低の先生、それが当時の私でした。

私は無性に申し訳ない気持ちになり、この子を何とか高校に行かせてやりたいと強く思いました。

それ以降、他の講師の先生にも協力してもらって、何とか受験の前日まで頑張ってきました。

 

いよいよ、受験本番は明日。

「明日、頑張って来いよ!」と声をかけて、彼を塾から送り出しました。

 

そして、翌日の夜。

受験の手ごたえを確認するために、お母さんに電話しました。

「I君、今日はどうでした?」

「先生、すみません…。実は、あの子、受験に行けなかったんです…。」

「えっ…」

その日以来、彼は塾には来ませんでした。

電話にも出てくれませんでした。

 

私は何とも言えない気持ちになりましたね。

だって、勇気を出して、私だけに「高校に行きたい」って言ってくれたのに、私は彼の希望を叶えてあげることはできなかったのです。

もちろん、彼は不登校生だったので、受験当日にテストを受けに行けなかったのは、もしかして、私の責任ではないのかもしれません。

でも、この時の私は、そんなふうに自分を慰めることはできませんでしたね。

とにかく、自分の力不足を責めました。

 

まあ、冷静になって考えてみると、我々はスーパーマンでも何でもないんだから、全ての生徒の望みを叶えてやることなんてできません。

そんなことができると思っているとしたら、とんでもない勘違い野郎です(笑)。

でも、今でも、この時の「トゲ」が私の心の中に刺さったままなんですよね。

 

この生徒は、新米の塾の先生だった私に、「先生」という仕事の難しさと尊さを教えてくれた生徒の一人です。

それにしても、彼は今どうしてるのかな?

もう40半ばを超えたおっさんになっているはずですが(笑)。

 

オーラのないマッチメーカーこと、株式会社WiShipの岡田でした爆笑